仕事を辞める・変えるタイミングはいつがいい?
そんな疑問を持っている方は、恐らく任意で退職時期を決められる方だと思います。
そうであれば退職金を最大化した状態で退職・転職したいと思いませんか?
この記事では、知らないと損する退職金を考慮した仕事を辞める・変えるタイミングについてFPが詳しく解説します。
・退職金を考慮した仕事を辞める・変えるベストなタイミング
・退職時期をずらすことによる退職金の手取り額の比較
・退職金の計算方法
・勤続20年以上の退職金の手取り額
・勤続20年未満の退職金の手取り額

たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
退職金を考慮した仕事を辞める・変えるベストなタイミング
頑張って仕事をしてきたのだから退職金は少しでも多く貰いたいですよね。
退職金を考慮した仕事を辞める・変えるベストなタイミングは勤続年数に関係があります。
具体的な方法は次の通りです。
- 勤続〇年0か月での退職を避け1か月以上ずらす
- 勤続〇年11か月での退職を避け2か月以上ずらす
たったこれだけで、ずらした分の給料も貰えて退職金の手取り額も増えます。
会社から貰える退職金が増えるのではなく、退職金の手取り額が増える点に注目です。
退職時期をずらすことによる退職金の手取り額の比較
退職金が2,500万円で勤続年35年1か月になるように退職時期をずらした場合と、勤続35年0か月で退職時期をずらさなかった場合の退職金の手取り額を見てみましょう。
勤続年数 | 35年1か月 | 35年0か月 |
---|---|---|
手取り額 | 約2,452万円 | 約2,445万円 |
差はなんと7万円です。
1か月は違えど同じ勤続年数、同じ退職金なのになぜこんなに差が生まれるのでしょうか?
実は退職金の計算方法に秘密があるのです。
退職金の計算方法
退職金は退職所得として、次の様に求められます。
控除額は、勤続年数20年を境に計算方法が変わり次のようになっています。
勤続年数 | 控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | (70万円×勤続年数)-600万円 |
この勤続年数は年数扱いのみとなり、1年未満の端数(か月)が生じた場合は切り上げて1年とする様になっています。
これにより先程の勤続年数35年1か月の場合の退職所得の計算は、勤続年数35年ではなく36年として計算されていたという訳です。
勤続年数が増えると控除額が増えるので、同じ手取り額でも退職所得が少なくなります。

控除額が退職所得を上回った場合は税金はかからずそのままの金額が貰えるよ!
退職金にかかる税金
先ほど算出した退職所得に、下記の税金が課せられ残った額が手取り額となります。
退職所得 | 所得税率 | 住民税率 | 控除額 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 10% | ー |
330万円以下 | 10% | 97,500円 | |
695万円以下 | 20% | 427,500円 | |
900万円以下 | 23% | 636,000円 | |
1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | |
4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
勤続年数の違いによる退職所得と控除額の比較
実際に勤続年数が1年増えると、各計算過程にどのくらいの差が出るのか見てみましょう。
勤続年数 | 35年1か月 | 35年0か月 |
---|---|---|
控除額 | (70万円×36年)-600万=1,920万円 | (70万円×35年)-600万=1,850万円 |
退職所得 | (2,500万-1,920万円)×1/2=290万円 | (2,500万-1,850万円)×1/2=325万円 |
たった1ヶ月の差で控除額が70万円も多くなり、同じ額の退職金をもらっているにも関わらず35万円も退職所得が少なくなっています。
最終的に退職所得に対して課税されるので、退職所得が少ないということはそれに係る税金も少なくなり手取り額が多く残ります。

1ヶ月の差が大きすぎる…
勤続年数20年以下の退職金の計算方法
先程は勤務年数20年超の場合でしたが、20年以下の場合を見てみましょう。
退職金が1,000万円で勤続年19年1か月になるように退職時期をずらした場合と、勤続19年0か月で退職時期をずらさなかった場合の退職金の手取り額を見てみましょう。
勤続年数 | 19年1か月 | 19年0か月 |
---|---|---|
手取り額 | 約982万円 | 約979万円 |
控除額 | (70万円×36年)-600万=1,920万円 | (70万円×35年)-600万=1,850万円 |
退職所得 | (2,500万-1,920万円)×1/2=290万円 | (2,500万-1,850万円)×1/2=325万円 |
20年超の7万円に比べると差は3万円となり少なくなりました。
この様に、勤続年数や退職金の額により変わってくるのでこの点には注意が必要です。

3万円でも十分な効果だね!
まとめ
この記事では、退職金を考慮した仕事を辞める・変えるタイミングについて説明してきました。
- 勤続年数〇年0か月での退職を避け1か月以上ずらす
- 勤続年数〇年11か月での退職を避け2か月以上ずらす
とっても簡単な方法で退職金を最大化した状態で退職・転職することができます。
ぜひ参考にしてみて下さい。