これから投資を始めようと考えている人の中には、NISAとiDeCoどちらを始めた方がいいのか分からない人も多いのではないでしょうか?
2つとも非課税で運用でき、投資の手段としては優れた制度です。
この記事ではNISAとiDeCoについてFPが詳しく解説します。
・はじめるならどっちがいいか
・NISA、iDeCoの概要
・NISA、iDeCoのメリット・デメリット
・NISA・iDeCoがお勧めな人
・自分に合っているのはどっちか

たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
NISAとiDeCo始めるなら
結論はNISAとiDeCo可能なら両方した方がより税制面で恩恵を享受できます。
ただし、両方を運用しようと思うと結構な資金が必要となりますし、似ているようで中身は結構違ったりもします。
どちらか一方から始めるならNISAをお勧めします。

NISAとiDeCoについてそれぞれ見ていこう!
NISA
NISAとは少額投資非課税制度です。
投資の運用益(譲渡益・分配金/配当金)に本来かかる20.315%の税金が非課税で運用できます。
投資で資産運用をおこなう際に、限度額までに対して税制面で優遇処置しますよという制度ですね。


つみたて投資枠と成長投資枠とで2種類あり、違いは非課税限度枠と投資対象です。
併用可能で併せて1,800万円まで非課税で運用できます。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
投資可能期間 | 無期限 | 無期限 |
非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税限度枠 | 600万円 | 1,200万円 |
投資対象 | 主に投資信託 | 上場株式・投資信託 |



どちらの枠で投資するかも自由に選べるよ!
iDeCo
iDeCoは個人型確定拠出年金です。
拠出された掛金が個人ごとに明確に区部され、掛金と運用収益の合計額を基に将来の受取年金額が決定される制度のこと。
掛金で資産運用を行い公的年金とは別に、将来の年金を捻出しましょうという制度です。
確定拠出年金は、企業型と個人型がありiDeCoはその個人型にあたります。
NISAと同じく運用益が非課税なのはもちろんのこと、運用益を年金や一時金として受取る際の各控除適用、掛金も全額所得控除となるなどNISAにはない税制面のメリットがあります。


注意点としては、年金となっていますがNISAと同じで資産運用なので公的年金とは違い将来受け取る年金額は運用結果次第となる点です。
自営業 (第1号被保険者) | 会社員 (第2号被保険者) | 公務員 (第2号被保険者) | 第2号の配偶者 (第3号被保険者) | |
---|---|---|---|---|
投資可能期間 | 65歳まで | 65歳まで | 65歳まで | 60歳まで |
非課税保有期間 | 60歳~75歳の間 | 60歳~75歳の間 | 60歳~75歳の間 | 60歳~75歳の間 |
年間投資枠 | 816,000円 | 276,000円 | 240,000円 | 276,000円 |
非課税限度枠 | 3,672万円 | 1,242万円 | 1,080万円 | 1,242万円 |
投資対象 | 投資信託・保険商品・預貯金等 | 投資信託・保険商品・預貯金等 | 投資信託・保険商品・預貯金等 | 投資信託・保険商品・預貯金等 |
年間投資枠や区分は企業年金等の加入の有無などによって違いがありますので詳細は厚生労働省HP iDeCoの概要をご覧ください。
また、表は2025年6月現在のものであり、投資可能期間や年間投資役の拡大が3年以内に確定しています。



NISAと比べて複雑だね…
NISAとiDeCoの比較
NISAとiDeCoは運用益が非課税など同じような制度ですが主旨や制度が違うことが分かったと思います。
改めてNISAとiDeCoをもう少し掘り下げて比較してみましょう。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
投資対象 | 18歳以上 | 20歳以上 |
投資可能期間 | 無期限 | 65歳まで |
非課税保有期間 | 無期限 | 60歳~75歳の間 |
年間投資枠 | 360万円 | 区分による |
非課税限度枠 | 1,800万円 | 区分と期間による |
投資対象 | 上場株式・投資信託 | 投資信託・保険商品・預貯金等 |
投資方法 | つみたて/自由 | つみたて |
運用益の受取 | 自由 | 加入期間10年以上を 満たした60歳以降 |
手数料 | なし | 加入時2,829円 運用管理手数料171円/月 口座管理手数料0円~500円程度/月 |
税の優遇処置 | 運用益が非課税 | 運用益が非課税 掛金が全額所得控除 受取時に各控除適用 |



改めて比較すると違いの差がより顕著になるね…
NISAのメリット・デメリット
- 流動性に優れる
- 手数料がかからない
- 投資対象が幅広い
メリット①流動性に優れる
NISAの最大のメリットはいつでも自由に売却したりして現金に換えることができる流動性に優れている点です。
投資を行う上で流動性リスクは無視できないリスクの1つです。
メリット②手数料がかからない
NISAで運用するにあたり、売買や投資信託の信託報酬手数料等は個々にかかりますがNISAの運用自体に手数料等はかからないので気軽に始めたり辞めたりすることができます。
メリット③投資対象が幅広い
成長投資枠では上場株式にも投資することができ、譲渡益を狙った運用や配当金を狙った運用など投資対象が広く柔軟性に富んだ投資ができます。
ただし、金融庁の基準を満たした商品が対象となっているので全ての商品に投資できるわけではない点は注意が必要です。
デメリット①税に優遇処置が少ない
iDeCoと比較すると税の優遇処置が運用益の非課税のみです。
ただし、iDeCoは個人型確定拠出年金が故に各控除の優遇処置がありますので当然と言えば当然なのかもしれません。
NISAまとめ
これらの事から、これから投資を始めようとする人にとってNISAは気軽に始めやすくまた、いつでも気軽に辞めたり休んだりできる点が適していると言えます。
また、投資経験者でも幅広い商品を選択して投資できますので不足ないと言えます。
NISAが適している人





NISAは投資によって資産形成したい人に向いているね!
iDeCoのメリット・デメリット
- 税の優遇処置が多い
- リスクの少ない商品が多い
メリット①税の優遇処置が多い
掛金全額が小規模共済等掛金控除の対象に、受取を年金方式にすると公的年金等控除、一時金にすると退職所得控除が適用されます。
これがiDeCo最大のメリットと言えます。
小規模共済等掛金控除は社会保険料控除と同様に所得から控除されますので節税になります。
ただし、企業年金や国民年金基金等に加入されている方は掛金の限度額が変わることがありますので詳細は厚生労働省HP iDeCoの概要をご覧ください。
メリット②リスクの少ない商品が多い
iDeCoは個人型確定拠出年金です。
将来の年金を捻出することが目的ですので、元本割れしないようなリスクの低い安全な商品が多いです。
ただし、将来受け取る年金額は運用結果次第となる点は注意が必要です。
デメリット①流動性リスクが高い
原則、加入期間10年以上の60歳以降にならないと受取出来ません。
必要な時にすぐに換金できないという流動性リスクの高さは無視できません。
iDeCo最大のデメリットとも言えます。
しかし、そもそもの目的が年金の捻出であることから当たり前だと言われたらそれまでかもしれません。
デメリット②コストがかかる
加入時加入時に2,829円、毎月運用管理手数料として171円、口座管理手数料として0円~500円程度(口座による)かかります。
中途脱退は原則不可で、掛金の積立自体は自由に辞めたり休んだりできますが毎月の手数料は掛かります。
iDeCoまとめ
税の優遇処置を受けつつ、リスクの少ない安全な商品で堅実に年金を捻出していく上でiDeCoは適しています。
しかし、流動性の面やコストがかかる点ではこれから投資を始めようとする人にとっては気軽に始めにくい面が否めません。
iDeCoが適している人





iDeCoはあくまで投資は手段で、節税や年金の捻出を目的にしている人に向いてるね!
まとめ
この記事ではNISAとiDeCoについて解説してきました。
- 始めるならNISA
- NISAは1,800万円の限度枠に対しての運用益が非課税
- iDeCoは運用益が非課税、掛金・受取時に各控除適用
- NISAは気軽に始めたり辞めたりできる
- iDeCoは中途脱退不可、コスト、流動性の観点から気軽に始めにくい
- NISAは投資で資産形成したい人にお勧め
- iDeCoは節税・年金捻出したい人にお勧め
制度の違いはあれど、どちらも税の優遇処置がある素晴らしい制度です。
自分の環境、目的に合った手段を選び投資を行いましょう。

