皆さんは医療保険に入っていますか？
保険については賛否両論あり、不要派の意見の1つに高額療養費の存在が挙げられます。
高額療養費を活用すれば保険は不要なのでしょうか？
高額療養費についてFPが詳しく解説します。
・高額療養費の概要
・いくらから使えるか
・自己負担額
・標準報酬月額の確認方法
・世帯合算の条件
・医療費を立て替えなくて済む方法
・高額療養費があれば医療保険は不要か
たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
高額療養費
療養に伴う自己負担額が自己負担限度額を超えた場合、支払った医療費から超えた部分の金額が払い戻される制度。
たまご限度額を超えた金額から制度を活用できるよ！
自己負担限度額
自己負担限度額は年齢や所得により変わってきます。
健康保険の方は標準報酬月額、国民健康保険の方は課税所得を参照してください。
課税所得は住民税決定通知書や確定申告書で確認できます。
【70歳未満】
| 標準報酬月額/課税所得 | 自己負担限度額 |
|---|---|
| 83万円以上/901万円超 | 252,600円＋(総医療費－842,000円)×1％ (多数該当は140,100円) |
| 53万円以上～83万円未満/600万円～900万円 | 167,400円＋(総医療費－558,000円)×1％ (多数該当は93,000円) |
| 28万円以上～53万円未満/210万円～600万円 | 80,100円＋(総医療費－267,000円)×1％ (多数該当は44,100円) |
| 28万円未満/210万円以下 | 57,600円 (多数該当は44,400円) |
| 住民税非課税者 | 35,400円 (多数該当は24,600円) |
【70歳以上75歳未満】
| 標準報酬月額/課税所得 | 個人ごとの外来 | 自己負担限度額 |
|---|---|---|
| 83万円以上/690万円以上 | 252,600円＋(総医療費－842,000円)×1％ (多数該当は140,100円) | |
| 53万円以上/380万円以上 | 167,400円＋(総医療費－558,000円)×1％ (多数該当は93,000円) | |
| 28万円以上/145万円以上 | 80,100円＋(総医療費－267,000円)×1％ (多数該当は44,100円) | |
| 一般所得者 | 18,000円 | 57,600円 (多数該当は44,400円) |
| 年金収入80万円以下の者など | 8,000円 | 24,600円 |
| 住民税非課税者・被扶養者 | 15,000円 | |
健康保険や厚生年金の保険料の計算の基となる毎月の給料の目安額。
同一世帯で直近12ヶ月の間に３回以上の高額療養費の支給を受けている場合のことで、４回目からの自己負担限度額が多数該当の金額となる。
この表は健康保険・国民健康保険の高額療養費のものであり、75歳以上は後期高齢者医療制度に切り替わりますので、表には記載がありませんが高額療養費は活用できます。
たまご保険料を納めている人は誰でも使える制度だよ！
例えば、標準報酬月額30万円で自己負担3割の人が高額療養費の支給を受けた場合のケースを見てみましょう。
通常は自己負担3割である30万円を支払いますが、高額療養費として212,570円が払い戻され実質負担は87,430円となります。
たまご実質1割負担を切っているね！
自分の標準報酬月額の確認方法
①給与明細等から健康保険料の金額を確認
②全国健康保険協会HPへアクセス
こちらからアクセスし被保険者の方の欄の居住地クリックします。
③自分の健康保険料の欄と照らし合せる
全国健康保険協会HP令和7年度保険料額表（令和7年3月分から）より引用
画像を参照に折半額の欄で自分の保険料と照らし合せ確認します。
世帯合算
高額療養費は世帯合算が可能ですが、以下の条件全てを満たしている必要があります。
- 同じ公的医療保険に加入(国保や健康保険の扶養)
- 住民票上同一世帯
- 1人1回21,000円以上の自己負担
高額療養費の対象外
- 先進医療など保険適用外の治療
- 差額ベッド代
- 入院時の食事・生活費
これらは対象外となります。
医療保険では特約などでカバーできるものもありますが、医療保険で支払われた保険金でこれらをカバーするのが一般的です。
たまごこれらの費用は治療が長引くほど嵩んでいくことも考えておかないといけないね…
高額な医療費を立て替えなくて済む方法
高額療養費は先に自分で立て替えて後からお金が還付されると思われている人が多いですが、これは事後申請の場合であり事前に限度額適用認定証の交付を受けたうえで窓口に提示すると窓口での支払いが自己負担限度額までになりますので立て替える必要はありません。
たまご勘違いしている人が多いよ！
高額療養費があれば医療保険は不要か
高額療養費と医療保険はそもそもの性質が異なりますので、高額療養費があれば医療保険は不要とは言えません。
高額療養費は保険適用の医療費負担軽減が主であり、医療保険は療養全体にかかる資金を保険金でカバーするのが主です。
保険は不要派で自己資金で対応していく人にとっては高額療養費は大きな支えとなるでしょう。
一方、医療保険に加入している場合は高額療養費を活用し、更に医療保険で高額療養費でカバーできなかった部分をカバーすることが可能となります。
急な医療費に対して自己対応が難しい場合や治療が長引く場合は、高額療養費＋医療保険のダブル体制が安心だといえます。
まとめ
この記事では高額療養費について説明してきました。
- 高額療養費は自己負担限度額を超えた金額を払い戻し
- 世帯合算も可能
- 事前に限度額適用認定証の交付を受ければ立て替える必要なし
- 保険適用外の治療や入院生活費などは対象外
- 高額医療費があれば医療保険が不要とは言えない
医療保険と性質は違えど、医療費負担を軽減してくれる素晴らしい制度です。
制度の内容を正しく理解しリスクに備えましょう。
