株式投資に比べると、まだまだ税制面で不利な仮想通貨。
しかし、投資対象としては魅力的であり私も資産の5%ほどを仮想通貨に投資しています。
税制面で不利だからと、投資対象から一概に除外するのも考え物。
今回は仮想通貨の税金対策や必ず押さえておきたい課税の注意点についてFPが詳しく解説します。
・仮想通貨に投資を行う上で必ず押さえておきたい課税の注意点
・仮想通貨の税金対策

たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
仮想通貨に投資をするうえで必ず押さえておきたい課税の注意点
税金対策の前に、仮想通貨に投資を行う上で必ず押さえておきたい課税の注意点について解説します。
総合課税である仮想通貨で利益がでて確定申告を行った場合、次のものに影響がでます。
税と保険料の種類 | 影響度 |
---|---|
所得税 | 有 |
住民税 | 有 |
健康保険料 | 無 |
国民健康保険料 | 有 |
厚生年金保険料 | 無 |
国民年金保険料 | 無 |
仮想通貨は総合課税なので総所得によって決まる、所得税、住民税、国民健康保険料に影響を与えます。
なお、厚生年金・健康保険料は標準報酬月額(給与所得から算出)、国民年金は全国一律なので影響はありません。
これにより、仮想通貨で利益は出たが非課税だった人が課税対象となったり控除適用対象だったのが対象外となる可能性があります。
該当する人は次の様な人です。
- 収入がない
- 扶養内パートなどの短時間労働者
- 配偶者控除・配偶者特別控除を受けている
- 国民健康保険に加入している
収入がない
収入の無い方は、所得税や住民税を支払っていません。
仮想通貨で利益が発生し確定申告を行うと、所得が発生し税負担が生じる場合があります。
所得金額 | 発生する税負担 |
---|---|
45万円超 | 住民税 |
48万円超 | 所得税 |
収入の無い方は基礎控除額の45万円以内であれば確定申告は不要です。
扶養内パートなどの短時間労働者
いわゆる年収の壁など、社会保険料を払わずに済むよう所得調整している人も仮想通貨で20万円を超える利益が出て確定申告した場合、仮想通貨の利益が所得に足され年収の壁を越えてしまう可能性があります。
総所得金額 | 発生する税負担 |
---|---|
100万円超 | 住民税 |
103万円超 | 所得税 |
106万円超 | 社会保険料 |
130万円超 | 社会保険料 (106万円に非該当者) |
配偶者控除・配偶者特別控除を受けている
配偶者控除・配偶者特別控除を受けている方も配偶者が仮想通貨で利益を出し確定申告した場合、配偶者の総所得が増えることにより配偶者控除・配偶者特別控除の控除対象外や控除額の減額の対象になる可能性があります。
配偶者の総所得金額 | 控除 |
---|---|
103万円超 | 配偶者控除対象外 |
103万円超~201万円 | 配偶者特別控除適用(段階的に減額) |
201万円超 | 配偶者特別控除 対象外 |
また、注意しなければならないのは配偶者だけではありません。
配偶者控除・配偶者特別控除を受ける納税者本人にも総所得が1,000万円以内という適用条件が設けられています。
よって、配偶者だけでなく控除を受ける本人も仮想通貨で20万円を超える利益が出て確定申告した場合、配偶者控除・配偶者特別控除の控除対象外になる可能性があります。
国民健康保険に加入している
国民健康保険料は前年の総所得によって決まりますので仮想通貨で利益を出し確定申告した場合、翌年の国民健康保険料が増える可能性があります。
特に住民税や国民健康保険料は前年度の収入を参照する為、保険料の反映にタイムラグが生じます。
去年は利益が出たけど今年は赤字という場合でも、赤字の今年に黒字だった去年の所得に応じた税金や保険料が徴収されますので注意が必要です。
仮想通貨の税金対策
一般的に行われる税金対策や節税は、仮想通貨では雑所得の性質上難しいです。
ですので、現状の仮想通貨の税制度とどう向き合い対策していくかを考えます。
大きく分けて3つあります。
- 割り切る
- 仮想通貨の税制度が整うまで長期保有
- 仮想通貨のETFや投資信託
割り切る
仮想通貨はボラティリティ(価格変動)が高いです。
税金を気にしないでよい位の利益が出ることもあるかもしれません。
そういった資産だと割り切るのも一つの方法です。

デメリットを上回るほどの利益は魅力的だね!
仮想通貨の税制度が整うまで長期保有
仮想通貨の税制度が、株式投資と同水準になる時が来るまで保有し続けます。
その時が来るかは誰にも分からない事ですが、仮想通貨がより身近な存在になっていけば可能性は多いにあるでしょう。
現にFXも2005年以前は仮想通貨と同じ雑所得でしたが、2012年から完全に株と同じ分離課税(20.315%)へと移り変わっています。
その時が来たときは仮想通貨の利益も膨れ上がっているかも知れませんね。

私もこの考えの下に保有しているよ!
仮想通貨のETFや投資信託
現状日本で購入可能な仮想通貨現物に対する、ETF(投資信託の上場版)や投資信託はありません。
アメリカ、カナダ、ドイツでは既に登場しています。
仮想通貨がより身近な存在になれば、日本でも購入できる日が来るでしょう。
ETFや投資信託を利用するメリットは、仮想通貨に間接的に投資しながら株式投資の税制度で運用できるところです。
デメリットとしては仮想通貨現物を保有していないことと、仮想通貨に直接投資するよりパフォーマンスが下がる可能性があることです。
ETFや投資信託が登場した場合、特殊なので信託報酬が高めに設定されることが予想されます。

仮想通貨の現物保有に拘らなければこれが最適解な気がするね!
まとめ
この記事では、仮想通貨の税金対策や必ず押さえておきたい課税ポイントついて説明してきました。
- 仮想通貨の利益によって意図せぬ税負担や控除対象外になる可能性がある
- 仮想通貨の税制度を割り切って投資するのも1つの手
- 税制度が整うまで保有し続け税金と向き合う
- ETEや投資信託を利用し税金と向き合う
投資で利益を出すことも大事ですが、税金とうまく向き合い投資パフォーマンスを上げることも利益を増やすうえで重要となってきます。
現状の税制度と上手に向き合っていけるようにしましょう。
