退職金の税金や控除の計算を解説!1ヵ月で手取りが数万円も変わる?

当記事には広告が含まれています。

近年、早期退職を募る企業が増加傾向にあります。
また、キャリアアップなどを理由に転職者数も3年連続で増加しているようです。
人生の中で2度、3度と退職金を貰う機会がある人も居るかも知れません。
この記事では、退職金の税金の計算方法についてFPが詳しく解説します。

この記事で分かること

・退職金の税金の計算方法

・退職金の税率

・退職金の控除額の計算方法

この記事を書いた人

たまご

  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
  • 資産形成コンサルタント
  • 投資診断士
目次

退職金の税金の計算方法

退職金は退職所得として計算されます。

退職所得=(収入金額ー控除額)×1/2

たまご

最後に1/2されるのが良心的だね!

退職金にかかる税金

算出された退職所得に、下記の税金が課せられ残った額が手取り額となります。

退職所得所得税率住民税率控除額
195万円以下5%10%
330万円以下10%10%97,500円
 695万円以下20%10%427,500円
 900万円以下23%10%636,000円
1,800万円以下33%10%1,536,000円
4,000万円以下40%10%2,796,000円
4,000万円超45%10%4,796,000円
たまご

控除額が退職所得を上回った時は税金はかからないよ!

退職金と勤続年数の関係

ここで皆さんにクイズです。
下記の二人、退職金の手取り額が多いのはどちらだと思いますか?
Bさんの方が1ヶ月長いですが、どちらも同じ勤続年数35年で退職金の額も同じです。

たまご

Aさんの方が頑張ってきた感じがするね…

それでは二人の手取り額を見てみましょう。

退職金手取り額
Aさん約2,445万円
Bさん約2,452万円
差異7万円

答えはBさんで、Aさんとの差はなんと7万円です。
同じ勤続年数35年で同じ額の退職金なのになぜこんなに差が生まれるのでしょうか?
Bさんの方が偉い人だったから?
実は控除額の計算方法に秘密があるのです。

たまご

Aさんが可哀そう過ぎるよ…

退職金の控除額の計算方法

退職所得=(収入金額ー控除額)×1/2

勤続年数控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超(70万円×勤続年数)-600万円

勤続年数20年を境に計算方法が変わります。
この勤続年数は年数扱いのみとなり、1年未満の端数(ヵ月)が生じた場合は切り上げて1年とする様になっています。
これにより先程のBさんの退職所得の計算は、勤続年数35年ではなく36年として計算されていたという訳です。

たまご

ちょうど0ヶ月と1ヶ月以上の場合に差が生じるね!

勤続年数1ヶ月差の退職所得と控除額の比較

勤続年数が1年増えると、各計算過程にどのくらいの差が出るのか見ていましょう。

退職所得
Aさん(70万円×35年)-600万=1,850万円
(2,500万-1,850万円)×1/2=
325万円
Bさん(70万円×36年)-600万=1,920万円
(2,500万-1,920万円)×1/2=
290万円
控除額退職所得
Aさん1,850万円325万円
Bさん1,920万円290万円
差異70万円35万円

たった1ヶ月の差で控除額が70万円も変わり、同じ額の退職金をもらっているにも関わらず35万円も退職所得が少なくなっています。
退職所得に対して課税されるので、退職所得が少ないということは課税が少なくなり節税に繋がります。

たまご

1ヶ月の差が大きすぎる…

勤続年数20年以下の退職金の税金の計算方法

どんな条件でも1ヶ月差で7万円も手取り額が変わるのかというと、そういう訳ではありません。
先程は勤務年数20年超のパターンでしたが、20年以下だとどうなるか見てみましょう。

退職金手取り額
Aさん979万円
Bさん982万円
差異3万円
退職所得
Aさん40万円×18年=720万円
(1,000万-720万円)×1/2=140万円
Bさん40万円×19年=760万円
(1,000万-760万円)×1/2=120万円
控除額退職所得
Aさん720万円140万円
Bさん760万円120万円
差異40万円20万円

1ヶ月の差で税制面で有利なのは変わりありませんが、先程の7万円に比べると少なくなりました。
この様に、勤続年数や退職金の額により変わってくるのでこの点は注意が必要です。

たまご

3万円でも十分な効果だね!

まとめ

この記事では、退職金の税金の計算方法について説明してきました。

  • 勤続年数が1ヶ月違うだけで7万円も手取りが違う
  • 理由は控除計算に用いる勤続年数は1年未満の端数が生じた場合は切り上げて1年とするから
  • 勤続年数と退職金の額によって手取り額の差は変わる

1ヶ月で数万円の差は大きいです。
1ヶ月退職を延ばすと1ヶ月分の給料も貰え退職金の手取りも増えますが、労働の負担も増えます。
退職を伸ばすメリットとデメリットを考慮したうえで自由に退職日を設定できる場合は、今回の記事を参考にして退職日を決定するのもいいかもしれませんね。

この記事が気に入ったらシェアしてね!
目次