住宅購入は人生の中で大きなライフイベントの一つであり、最も高額な買い物でもあります。
そのうえ、どこでローンを組むか、幾らのローンを組むのか、固定金利か変動金利か、など様々な選択をしていかなければなりません。
大事なイベントなので自分に合った正しい選択をしたいですよね。
この記事では、その選択肢の中の一つである元利均等返済・元金均等返済についてFPが詳しく解説します。
・元利均等返済、元金均等返済の概要
・金銭的負担の比較
・元利均等返済を選んだ方がいい人
・元金均等返済を選んだ方がいい人
・借入先の選び方

たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
元利均等返済・元金均等返済とは
元利均等返済・元金均等返済とは住宅ローンの返済方法のことです。
元利均等返済
借入金と利息を合わせた毎月の返済方法を一定額に設定した返済方法のこと。
毎月の返済額が一定なのが特徴です。

返済計画が立てやすい。
元金均等返済
借入金の元金の部分の返済を毎月一定額に設定した返済方法のこと。
元金の返済を固定にし元金残高に対して利息がかかるので、返済が進むに従って毎月の返済額が減っていくのが特徴です。

総返済額が元利均等返済に比べて少なくなる。
元利均等返済と元金均等返済の比較
実際にどのくらい差があるのか比較してみましょう。
- 借入金額3,000万円
- 返済期間30年
- 適用利率2%固定
比較①総支払額
返済方法 | 支払利息 | 総返済額 |
---|---|---|
元利均等返済 | 9,918,769円 | 39,918,769円 |
元金均等返済 | 9,024,750円 | 39,024,750円 |

確かに元金均等返済の方が安いね!
比較②毎月の支払額
元利均等返済
返済回数 | 返済元本 | 支払利息 | 返済額 | 借入残高 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 60,885円 | 50,000円 | 110,885円 | 29,939,115円 |
2回目 | 60,987円 | 49,898円 | 110,885円 | 29,878,128円 |
3回目 | 61,089円 | 49,796円 | 110,885円 | 29,817,039円 |



確かに毎月の返済額が一定だね!
元金均等返済
返済回数 | 返済元本 | 支払利息 | 返済額 | 借入残高 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 83,334円 | 50,000円 | 133,334円 | 29,916,666円 |
2回目 | 83,334円 | 49,861円 | 133,195円 | 29,833,332円 |
3回目 | 83,334円 | 49,722円 | 133,056円 | 29,749,998円 |



返済当初は返済額が高くなるっていう話だったけど2万円以上も変わるのか…
元利均等返済と元金均等返済どっちを選ぶべきか
元利均等返済と元金均等返済の特徴や実際の支払い例はお分かりいただけたかと思います。
選ぶ際、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
元利均等返済がお勧めな人


毎月の家計を楽にしたい
総返済額が高くなるのは悩み所ですが、返済額が固定なので家計管理がしやすく安定感は抜群です。
近い未来に大きな出費の予定がある
今は元金均等返済でも返済能力に問題が無くとも、子供の進学や未来に大きな出費の予定がある人はそれを機に支払い能力に影響が出る可能性があります。
ローンの組み直しも可能ですが、手数料などの出費がかかり組み直し前提で考えるのはお勧めではありません。
見通しが立ちにくいライフイベントを控えている
出産などは先の見通しが立ちにくいです。
子供は1人の想定で返済能力に問題が無く元金均等返済を選択しても、2人目が欲しくなったり双子だったりと思わぬ出来事で支払いに能力に影響が出る可能性があります。
ローンの組み直しも可能ですが、手数料などの出費がかかり組み直し前提で考えるのはお勧めではありません。
元利均等返済より高い返済額が払えない
元金均等返済の月の支払額が元利均等返済の月の返済額と同等額になるのは約163回目の支払時です。
その間13年と7ヶ月という月日です。
13年7ヶ月という間元利均等返済より高い返済額を払えない人は元利均等返済を選んだ方が良いでしょう。
元金均等返済がお勧めな人


総返済額を安くしたい
毎月の返済額が元金均等返済より増えても良いからとにかく安く済ませたい人は元金均等返済を選んだ方が良いでしょう。
ライフプランの変化が少ない
子供の予定がなかったり、子供が自立していたりとライフプランの変化が少なく、ある程度の状況変化にも対応できる人も元金均等返済を選んだ方が良いでしょう。
将来の返済額を抑えたい人
若い働き盛りのうちに頑張って返済し、老後が近くなる将来を見据えて返済額を抑えたい人も元金均等返済を選んだ方が良いでしょう。
住宅ローンの借入先の選び方
ローンの借入先の選び方は主に2パターンあります。
- 一括比較サービスの活用
- 不動産業者からの紹介
一括比較サービスの活用
自分で借入先を探すパターンです。
借入先はメガバンク、地方銀行、ネット銀行など多種多様にあり、銀行により金利や借入条件が違います。
無料の一括比較サービスを活用すると、多数の借入先の中から自分がどの借入先からどんな条件で借りられるかが可視化でき便利です。
借入可能額をあらかじめ把握するのにも役立ちます。
不動産業者からの紹介
不動産業者から借入先を提案してもらうパターンです。
住宅を購入する際、不動産業者がローン説明会などを開き借入先を紹介してくれることがあります。
不動産業者と提携している銀行だと、自分で借りるよりも優遇された安い金利でローンを組めたりすることもあります。
まとめ
この記事では元利均等返済・元金均等返済について説明してきました。
- 元利均等返済は毎月の返済額が固定
- 元金均等返済は毎月の返済額が段階的に減少
- 元金均等返済は元利均等返済よりも当初の返済額が2万円以上多い
- 総返済額が少ないのは元金均等返済
- どちらがいいかはローンを組む人によって変わる
- 借入先は一括比較サービスの活用か不動産業者に紹介してもらう
金銭的メリットがあるのは元金均等返済ですが、住宅ローンは高額で長い付き合いとなる為、一概に安い方が良いで片付けられない一面があります。
どちらが得かという観点ではなく、どちらが未来も含めた自分のライフプランに適しているかという観点から判断し選択する必要があります。