106万円の壁撤廃により、扶養内で社会保険料を納めずに収入を得ていた人も社会保険加入対象者となり金銭的負担は免れないこととなりました。
実際、どのくらいの金銭的負担になるのか気なっている方人も多いのではないでしょうか?
この記事では、仮定のシミュレーション条件を基に増える年金受給額、負担する社会保険料の金額、支払い額と受け取り額の比較についてFPが詳しく解説します。
・106万円の壁撤廃で増える年金受給額
・106万円の壁撤廃で負担する社会保険料の金額
・支払う厚生年金保険料と増える年金受給額の比較
・支払う社会保険料と受け取る年金受給額の比較

たまご
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- AFP(アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー)認定者
- 資産形成コンサルタント
- 投資診断士
106万円の壁とは?
106万円の壁撤廃について知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

106万円の壁撤廃による将来貰える年金額のシミュレーション
106万円の壁撤廃により、第1号及び第3号被保険者から第2号被保険者になることで将来貰える年金額が増えるというメリット。
実際、どの位増えるのかシミュレーションしてみました。
メリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

- 2025年6月現在の各数値で算出
- 一番多い年収103万円の壁を意識し所得調整していると仮定
- 加入期間20年と仮定
- 65歳からの受給と仮定
- 現在価値で固定
年収 | 第3号被保険者の ままの年間年金受給額 | 第2号被保険者であった場合の年間年金受給額 | 差額 |
---|---|---|---|
103万円 | 397,500円 | 513,380円 | +115,880円 |
改正のねらいにも記載されていた通り、第2号被保険者の方が年金受給額は増えていることが分かります。
106万円の壁撤廃による社会保険料のシミュレーション
106万円の壁撤廃により、第3号被保険者から第2号被保険者になることで社会保険料の支払い義務が発生し収入が減るというデメリット。
どの位の社会保険料になるのかシミュレーションしてみました。
厚生年金保険料
- 2025年6月現在の各数値で算出
- 年収103万円の壁を意識し所得調整していると仮定
- 標準報酬月額88,000円と仮定
- 被保険者負担分率を9.15%で算出
月額 | 年額 |
---|---|
8,052円 | 96,624円 |

会社も保険料を半分負担してくれているから会社も支払う保険料が増えるね…
健康保険料
- 2025年6月現在の各数値で算出
- 一番多い年収103万円の壁を意識し所得調整していると仮定
- 標準報酬月額88,000円と仮定
- 被保険者負担分率を協会けんぽの全国平均値とし40歳未満を4.92%、40歳以上を5.72%で算出
年齢 | 月額 | 年額 |
---|---|---|
40歳未満 | 4,330円 | 51,960円 |
40歳以上 | 5,034円 | 60,408円 |

40歳以上は介護保険料が全国一律でかかるから高くなるよ!
106万円の壁撤廃による厚生年金保険料と増額される年金額の比較
将来増える年金受給額と厚生年金保険料を比較すると、支払保険料よりも将来増える年金受給額の方が上回る結果となりました。
年収 | 年間厚生年金保険料 | 年間年金受給額 増額見込み | 差額 |
---|---|---|---|
103万円 | 96,624円 | 115,880円 | +19,256円 |
106万円の壁撤廃による社会保険料と増額される年金額の比較
健康保険料を加味した社会保険料全体で見ると、金銭面ではマイナスとなります。
これに関しては決まったことですのでどうしようもありません。
傷病手当金や出産手当金という社会保障の付加価値でカバーされていると考えるべきでしょう。
年収 | 年間社会保険料 (40歳未満) | 年間年金受給額 増額見込み | 差額 |
---|---|---|---|
103万円 | 148,584円 | 115,880円 | -32,704円 |
年収 | 年間社会保険料 (40歳以上) | 年間年金受給額 増額見込み | 差額 |
---|---|---|---|
103万円 | 157,032円 | 115,880円 | -41,152円 |
実はもう1つある目玉の年金制度改正法案
実は、先程の金銭的マイナスの部分を打ち消す可能性のある改正案が盛り込まれています。
基礎年金の給付水準の底上げ
- 厚生年金の積立金を活用し、基礎年金の給付額を引き上げる。
- ①によって厚生年金の給付水準が低下した場合は、適切な措置を取る。

今後の政府の動きに注目だね!
まとめ
この記事では、仮定のシミュレーション条件を基に増える年金受給額、負担する社会保険料の金額、支払い額と受け取り額の比較について説明してきました。
- 年金受給額は年間115,880円増える
- 厚生年金保険料より増額年金額が年間19,256円上回る
- 社会保険料全体では増額年金額が年間32,000円~41,000円下回る
- 下回った部分は社会保障の付加価値でカバー
- 基礎年金の給付水準の底上げに期待
年金受給額や保障は増えますが、金銭面の減少は免れません。
改正法案は成立しましたが、まだ施行には猶予があります。
決まったことに対し、これから何ができ、どう対応しいくか考えていくことが重要です。
